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DATE: 2009/07/27(月)   CATEGORY: 美術展レビュー
フランス絵画の19世紀


先日の連休に行ってまいりました。
横浜美術館で開催中の「フランス絵画の19世紀」。

連休に加え、夏休みスタートだというにも関わらず、かなり空いていてびっくりしました。
まあ、確かにあまり日本では有名な作品は来ていなかったので、注目度が低いということもあるでしょうけれど……
でもそのお陰で、充分楽しむことが出来ました。感謝。


今回の中心となるのが、「アカデミズム」。
ダヴィット、アングル、ドラロッシュというお歴々の名が示すとおり、アカデミーの優秀な作品群が集結しました。

19世紀というくくりなので、新古典主義からロマン派、印象派へと流れてゆくわけなんですが、アカデミーな作品好きの管理人はそちらを中心に語ります。(苦笑)



ミシェル=マルタン・ドロリング「アキレウスの怒り」

まずはローマ賞受賞作からスタート。
今回の図録にローマ賞について説明がありましたので、一部紹介致します。

「ローマ賞」とは王立アカデミーにおける、権威ある選抜制度。当時、絵画ジャンルの中で最高ランクにおかれていた「歴史画」がテーマです。
まず一次試験では、宗教史・古代史・神話などに基づく特定のテーマで下絵を描きます。
二次試験では、外部の助けを借りずに一人で絵画作品を完成させます。
合格者は官費で数年間、ローマにあるフランス・アカデミーに留学することができました。
なんとも豪華な賞ですね。しかし、受賞しても鳴かず飛ばずで終わってしまう画家もいたようで……これは現代の各賞やコンクールと似たようなものですね。(苦笑)

さて上の作品ですが、タイトルは「アキレウスの怒り」。
ご存知、トロイア戦争から取られています。
自分の恋人であるブリセイスを奪い取ったアガメムノン(トロイア侵攻連合軍の総大将。アキレウスにしてみれば上司)を殺そうとしているところです。
もちろん、いさめられて未遂に終わるのですが……
上空からアキレウスを止めようとしているのは、女神アテナ。
トロイア戦争は、同時に神々同士の対立でもあり、アテナはギリシア側についているのです。確かに、総大将が殺されたらえらいことですからね……。アキレウスも無事では済まないし、そうなると一気に連合軍はガタガタになるでしょうから。(汗)

作品自体は、さすがはアカデミズム、なめらかな肢体の表現は見事と惚れ惚れしました。
アガメムノンがイメージよりもだいぶ若い気もしますが、やはり肉体の表現上、若返させられたのかなと思います。



アリ・シェフェール「糸巻のマルガレーテ」

通りかかると思わず足を止めざるを得ない、そんな雰囲気を持った作品です。
題材はゲーテの「ファウスト」より。

マルガレーテ、通称グレートヒェンは無垢で純真な信心深い娘。しかしファウストとの恋により、絶望の底に突き落とされる。
母親も兄もファウストに殺され、さらに彼が去った後で婚外子を産み、持て余した末に子供を沼に沈めてしまう。そうして彼女は婚前交渉および嬰児殺しで死罪を宣告され、処刑されてしまう――

どこまで不幸なんだと言いたくなるマルガレーテですが、最後まで信仰を捨てることはありませんでした。

幸薄い表情ながら、どこか落ち着いて見えるのは、その厚い信仰心ゆえでしょうか……。



レオポルド・ロベール「春の寓意」、または「ナポリ近郊、アルコの聖母礼拝堂の祭りからの帰り道」
レオポルド・ロベール「夏の寓意」、または「ポンティーノ湿地帯への刈り入れ人の到着」

四季の寓意の連作ですが、実際には秋と冬は未完であるそうです。
「春」は、名もなき巡礼者たちを題材にしているにも関わらず、まるで歴史画のような風格を備えた大作に仕上がっています。実際のサイズもかなり大きく、迫力がありました。
画中の人々が今にも踊りだしそうな躍動感、鑑賞者を惹きつけるピラミッド型の構成など、完成度の高さが当時サロンで大いに評価されたそうです。

しかし自分はどちらかというと「夏」のほうが好みでした。
キャンバスの奥に本物の太陽があるのではないかと思えるほど、傾いた日差しの色まで伝わってくる表現力。むせ返るような暑熱や土埃のにおいまで感じてくるような気がします。
「春」のような華やかさがないだけに、いっそうリアルに感じられました。



ポール・ドラロッシュ「クロムウェルとチャールズ1世」

クロムウェルといえば17世紀に起きたピューリタン革命の主導者。
そしてチャールズ1世は、その革命で打倒された、スチュアート朝の国王です。
革命の大きな原因は、財政逼迫による社会情勢の悪化でしたが、チャールズ1世の政治能力が低かったせいだけでもなかったようです。財政破綻の端緒はエリザベス1世の治世下からすでに始まっていたのですから……

クロムウェルも、そのことを充分わかっていたのではないでしょうか。それでもなお、打倒すべき対象として国王の首を刎ねなければならなかった……
そんな彼の複雑な表情が、陰影を伴って深く表現されています。

この作品は、チャールズ1世の遺体が宮殿に運ばれた後、クロムウェルが棺の蓋を開けているところを描いています。もちろん、実際にはそんなことはなかったみたいなんですけどね。
しかし歴史的題材を劇的に描くのがドラロッシュの得意技。


長くなったので、次に続きます。→こちら
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