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DATE: 2008/11/29(土)   CATEGORY: 美術展レビュー
ジョン・エヴァレット・ミレイ展


いったいいつの話なんだと言われそうですが・・・
先月に行ったミレイ展のレビューを今頃上げてみます。記憶がもっと薄れる前に・・・(汗)


ジョン・エヴァレット・ミレイはイギリス、ラファエル前派の画家。
11歳にして史上最年少でロイヤル・アカデミーに入学するという天才少年っぷりを発揮しますが、アカデミーの硬直した教育に嫌気が差し、美術界を改革すべく「ラファエル前派兄弟団」を結成します。
なぜラファエル(ラファエロの英語読み)が槍玉に挙げられたかというと・・・ロンドンのナショナル・ギャラリーが、ラファエロの「キリストの変容」の複製をずっと展示していたからだそうです。ラファエロ以降、美術が堕落していったのだというのが彼らの持論・・・。ラファエロの作品も好きな自分としては、複雑な気持ちですが。(苦笑)



参照:ラファエロ・サンツィオ「キリストの変容」
(この絵の何がいけないのか、自分にはわからないのですが・・・;)




「オフィーリア」
ミレイの作品で最も有名なのがこれ。
(印象派の)ミレーといえば「落ち穂拾い」、(ラファエル前派の)ミレイといえば「オフィーリア」が真っ先に挙げられるのではないでしょうか。
説明するまでもないとは思いますが、画題はシェイクスピアの『ハムレット』より、恋人に父親を殺され、錯乱して溺死した悲劇のヒロイン、オフィーリアです。

この絵を描くために、ミレイは浴槽をアトリエに持ち込み、モデルを何時間も水に漬けたままにしたのだそう。一応、ランプを下から照らして暖めていたみたいなのですが、それが消えてしまって水風呂に・・・
モデルは当然風邪を引き、父親が怒って医者代を払わせたとのことです。何してんだミレイ・・・



「救助」
火事から3人の子供を救出する消防士の活躍を描いた作品です。
3人・・・? と一瞬思いましたが、母親の右腕手前に一番小さな子供が見えます。
印刷ではあまり発色が良くないのですが、実物は、炎に明々と照らし出された頬と、夜の闇とのコントラストが素晴らしいです。
激しい炎の描写はなくても、情景がはっきりと伝わってきます。



「安息の谷間『疲れし者の安らぎの場』」
安らぎの場――それは墓地。
夕暮れ時、一人の尼僧があらたな魂を眠らせるため、懸命に墓を掘っています。もう一人の尼僧は祈りを捧げていたのか、その手にはロザリオが・・・。
薄れゆく暮色の中、疲れたようにこちらを振り返る尼僧の表情に、目を奪われます。



「初めての説教」
ミレイが初めて自分の子供をモデルに描いた作品。
これから説教に臨む少女は、背筋を伸ばして信徒席に座る姿から、緊張した様子が伝わってきます。これから何が起こるのか、ドキドキしながらその時を待っているのでしょう・・・。

そしてその翌年、発表されたのが次の作品。



「二度目の説教」
かっ、可愛すぎるーーーーーーっ!!!
美術館でうっかり叫びそうになりましたよ。危ない人です、これでは。
一度目はドキドキしながら迎えていた少女も、二度目では緊張が解け、退屈なだけになってしまったのでしょう・・・
なんて説明もいらないくらいですね。
あまりにも可愛すぎて、展示を全部観終わった後、またこの絵の前に引き返してきてしまいましたよ。(笑)



「ベラスケスの想い出」
ベラスケスは、言わずと知れたバロック時代のスペイン宮廷画家。
その作品を模して、モデルの子供もスペイン風の衣装を着ています。少女の毅然とした瞳に、王侯貴族の気品の高さを思い起こさせます。


参照:ベラスケス「マルガリータ王女の肖像」



「連隊の子ども」
いやもう、ミレイに子供を描かせたらいけません。犯罪的に可愛すぎます。困ります。
というわけで、眠る少女に連隊の兵士の上着がかけられているこの作品。
安らかな表情で眠る子供と、戦いの象徴である兵士の服。
柔らかな肌、みずみずしい生気を感じさせる少女と、冷たい石の墓碑の背景。
あまりに鮮やかな対比に、思わずうならされます。


まだまだ挙げたい作品はたくさんあるのですが、ひとまずこのくらいで・・・。
本当に充実した展覧会でした。
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