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DATE: 2007/05/15(火)   CATEGORY: 美術展レビュー
北斎館レビュー
小布施にある北斎館に行ってきたので、レビューを上げてみます。
葛飾北斎といえばすぐに錦絵が思い浮かぶのですが、ここの美術館は肉筆画を多く所蔵しておりました。北斎の肉筆画を一度にこれだけ観るのは初めてのことです。
印刷ではそれなりに眺めていても、実物は本当に違いますね。そのことを非常に実感しました。

油彩画のような表現手法とは明らかに違うため、奥行きや厚みによる迫力を与えるわけではありません。が、静謐な情景を精緻な筆で切り取ったさまに、ただ言葉もなく食い入るように見つめるばかりでした。
昔の作品ではありますが、発色も実に美しく、つい先ほど描き上がったと言われてもうっかり信じてしまいそうです。

以下、気に入った作品を並べてみます。


「柳下傘持美人」
印刷や画像では、美しさの十分の一も伝わりません……! 傘や着物の濃淡が、見事なグラデーションを生み出していました。思わず葉書とボールペンを買ってしまいましたよ。



「白拍子」
静御前の「しづやしづ」の場面だそうで。命懸けで舞う静御前の凛とした表情が印象的です。



「お福」
美人画から一転、今度は愛らしい姿。愛嬌のあるこの少女、実は天鈿女命だそうで。(この後、ストリップショーが始まるとはとても思えませんが……)



「東海道旅行」「潮干狩」
まぶしいくらい鮮やかな青が、真っ先に目に飛び込んでくる作品。楽しげな表情、指先の動作まで見事に写し取った筆力はまさに職人芸。何となくピーテル・ブリューゲルを思い出すのは自分だけでしょうか。


そして最後、県宝である「東町祭屋台」および「上町祭屋台」が大トリを取るような展示方法でした。三次元作品は著作権の関係で写真を載せられませんが、一度見て損はないはずです。天井板に男波・女波、龍・鳳凰がそれぞれ描かれていて大迫力。

以上、小布施の北斎館レビューでした。茶屋の建ち並ぶ情景など、風情のある街なので、観光にもぴったりだと思います。
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DATE: 2007/05/04(金)   CATEGORY: 20世紀以降
午前4時の宮殿
アルベルト・ジャコメッティ「午前4時の宮殿」
この作品は著作権の関係上、画像を貼ることができないため、こちらからご覧ください。

今回はジャコメッティの作品というリクエストを頂きました。
ジャコメッティはスイスの彫刻家。絵画や版画の作品も多くありますが、よく知られているのは針金のように引き伸ばされた人間の彫刻だろうと思います。

1935年まではシュルレアリスム、キュビズムに影響を受けた作品が多く見られます。1932年に製作された、この「午前4時の宮殿」は、まさにシュルレアリスムそのものといった仕上がりになっています。

またシュルレアリスムらしい作品といえば、こちらの「自ら喉を切る女」(Woman with Her Throat Cut, 1932)や「超現実主義の食卓」(The Surrealist Table, 1933)もまさにそうですね。製作年を見れば、その作風がはっきりとわかると思います。(35年が目安)


1950年以降、ジャコメッティは極端に細長い彫刻を製作するようになりました。
こちらのページをスクロールして、"Alberto Giacometti" という項目をご覧ください。
この「歩く男」の作品群がジャコメッティの細長い人物彫刻の代表作になります。

自分が一番惹かれたのは、こちらの「雨の中を歩く男」
原題は "Homme qui marche sous la pluie" で、英訳だと "Man Walking in the Rain" になるようです。
窓辺にでもそっと飾っておきたくなるような、素朴な仕上がりの作品ですね。


なお、本国スイスでは、100スイス・フランにジャコメッティの肖像(表)と「歩く男」の写真(裏)が使用されています。日本では芸術家がお札になることはないですよね。いつか作ってほしいです。


The Museum of Modern Art(ニューヨーク近代美術館:英語)
Mark Harden's Artchive(英語)
Fondation Beyeler(英語)
Wikipedia(スイス・フラン画像)
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