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DATE: 2007/10/27(土)   CATEGORY: 20世紀以降
女蛇使い

アンリ・ルソー「女蛇使い」
大きい画像はこちら

アンリ・ルソー。巨匠にまで上りつめた恐るべき素人画家。

税関吏をやっていて40歳から絵を始めたとか、稚拙な絵だと馬鹿にされていたとか、本当は戦争どころかフランスを出たこともないとか、そんな数々の逸話はもはや伝説の域に達しているので、ここではそうしたことは省いてしまいます。

ルソーの作品はどれも、微妙に子供が描いたような「へたうま」感が付きまとうのですが、それでも自分は結構好きだったりします。ここで紹介しているのは割と写実的な絵が多いのですけれども。
(いや、本当はシュルレアリスムとかもかなり好きなのですが、ほとんどが著作権が切れていないため、画像を載せられないんですよね・・・)

それはともかく、今回ご紹介するのは「女蛇使い」。
ルソー作品の中で自分が一番惹かれたのがこの絵です。
月明かりの下、ふくよかなシルエットが浮かび上がり、瞳だけが光ってこちらを向いています。水辺にたたずむ女も、笛の音に寄せられた蛇たちも、どこか禍々しい空気をかもし出すものの、画のほとんどを埋める密林の緑が驚くほどの調和を与えています。
何とも不思議なアンバランスさ。


これに似た、静けさと危うさを兼ね備えた作品がこちら。


「眠れるジプシー女」

一人の放浪のジプシー女が、マンドリンと水差しをかたわらにして、くたびれきって眠り込んでいます。ライオンが通りかかって匂いをかぐのですが、食べはしません。これはとても詩的な月のせいなのです――
ルソー自らが、故郷の市に対して手紙でそう語ったそうです。

眠りこけた人間と、それに鼻先を突きつけるライオン。本来ならば、ひやりとしなければならないはずの状況なのに、この絵を観てもそうした感じは受けません。ルソーの目というフィルターを通して、危うさが濾過されてしまったかのように。


「女蛇使い」は「眠れるジプシー女」の10年後に描かれました。
2つの作品に共通するのが、この調和の中に潜む危うさ、もしくは危うさを孕んだ調和ではないでしょうか。
素人画家の純心さが生んだものか、それとも詩的な月の魔力によるものなのか・・・


Mark Harden's Artchive
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DATE: 2007/05/04(金)   CATEGORY: 20世紀以降
午前4時の宮殿
アルベルト・ジャコメッティ「午前4時の宮殿」
この作品は著作権の関係上、画像を貼ることができないため、こちらからご覧ください。

今回はジャコメッティの作品というリクエストを頂きました。
ジャコメッティはスイスの彫刻家。絵画や版画の作品も多くありますが、よく知られているのは針金のように引き伸ばされた人間の彫刻だろうと思います。

1935年まではシュルレアリスム、キュビズムに影響を受けた作品が多く見られます。1932年に製作された、この「午前4時の宮殿」は、まさにシュルレアリスムそのものといった仕上がりになっています。

またシュルレアリスムらしい作品といえば、こちらの「自ら喉を切る女」(Woman with Her Throat Cut, 1932)や「超現実主義の食卓」(The Surrealist Table, 1933)もまさにそうですね。製作年を見れば、その作風がはっきりとわかると思います。(35年が目安)


1950年以降、ジャコメッティは極端に細長い彫刻を製作するようになりました。
こちらのページをスクロールして、"Alberto Giacometti" という項目をご覧ください。
この「歩く男」の作品群がジャコメッティの細長い人物彫刻の代表作になります。

自分が一番惹かれたのは、こちらの「雨の中を歩く男」
原題は "Homme qui marche sous la pluie" で、英訳だと "Man Walking in the Rain" になるようです。
窓辺にでもそっと飾っておきたくなるような、素朴な仕上がりの作品ですね。


なお、本国スイスでは、100スイス・フランにジャコメッティの肖像(表)と「歩く男」の写真(裏)が使用されています。日本では芸術家がお札になることはないですよね。いつか作ってほしいです。


The Museum of Modern Art(ニューヨーク近代美術館:英語)
Mark Harden's Artchive(英語)
Fondation Beyeler(英語)
Wikipedia(スイス・フラン画像)
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